(社)児島青年会議所2010年 理事長所信



2010年理事長 奥野 貴章


【はじめに】
 児島は、古事記では大八島(本州、九州、四国、淡路島、隠岐、壱岐、対馬、佐渡島)の次に「吉備の児島生みき。次に小豆島を生みき。」と紹介され、古代日本列島を形成する主要な島の一つとして認識されていました。また、江戸時代に興った産業の集積により周辺部より比較的早い時期から都市化がみられ、児島に市が誕生したのが1948年のことでした。しかしながら、1967年高度経済成長期の合併ブームの際、地域の拠点となることを目指し誕生した倉敷市の一部となりました。
 行財政の効率化、健全化のために合併をすることは必要でありますが、単独の市でなくなると、全国的な知名度が極端に下がるのが常であります。歴史ある児島の名を広く知ってもらい続けるためにも、郷土を愛する気持ちを抱き活動する我々のような団体が必要なのではないかと考えます。


【ひとづくり】
 スローガンにある「大欲」とは、数多くの欲ということです。自分自身に対する欲の数などたかがしれたもの。家族、所属する会社に対するものでも大した数にはならないでしょう。となれば、その欲は地域の発展、国家の繁栄、世界の平和に向けられていくはずです。
 かの松下幸之助氏も「欲望肯定論」を説いています。生命力の表れが欲望であり、それ自体は善でも悪でもない。欲望が強いとは生命力が強いことを表す。欲望の善悪は、それを満たそうとする行為がお互いの繁栄、平和、幸福を損なわないものであるか否かにかかっているとしています。
 我々メンバー一人一人が「大欲」を持ってもらえるよう努めます。そうすれば、お互いが切磋琢磨できる環境が自然とでき、組織をより良いものにする原動力となり、地域ばかりか国家までにも影響を与える力になるでしょう。


【そしきづくり】
 メンバー一人一人が「大欲」を持ち得ても、それが少数であればあまり大きな影響力を及ぼすことはありません。志高きメンバーが多ければ多いほど、ベクトルが正しく同じ方向に向けば向くほど、その力は強大なものとなります。児島をよりよきものにしたいという気持ちを抱き、我々の考えに共感を覚え、賛同してくれる人を一人でも多く仲間とするべく活動し、組織力強化に努めます。
 また、既に行われている公益法人制度改革は、真に公益的な事業を行っている団体であるかどうか、不特定多数の人に利益をもたらす団体であるかどうか、ふるいにかける訳ですが、これはよい機会です。これを好機と捉え、真に社会に貢献している団体、社会に必要とされている団体として認められるよう組織改革を進めます。

【まちづくり】
サブプライムローン問題に端を発する100年に1度の経済危機に伴う不況は底入れしたといわれておりますが、本格的な景気の回復の兆しは依然として見えていないのが実状です。また、児島の中心的な産業である繊維業も、消費の低迷、原油高に伴う原材料高、海外製品の流入等により依然として厳しい状況は続いております。
 そんな状況下、暗いニュースばかりが目立つご時世ですが、児島の市民に笑顔が戻る場を提供し、児島のまちが笑顔と笑顔の通い合う明るいものになればと思います。その機会を通して、地域コミュニティの融合が図れるなら、災害時の地域連携にも繋がり、より強固な自主防災組織の確立に役立つものと考えます。

【くにづくり】
 教育は国家百年の大計といわれるとおり、国家の行く末は教育が決めるといっても過言ではないと思います。しかしながら、目先の数値に捉われ、根本的な教育方針が少しずれているような気がします。学校では勉強をして、頭を鍛えます。スポーツをして、体を鍛えます。もう一つ人間が生きていく上で大切な心を鍛える場が不足しているように感じます。近年、人の心が荒んでいることに起因する事件が多いのはそのためかもしれません。
 青少年育成事業では、将来この児島のみならずこの国を背負って立つ子どもたちに心を鍛える場を少しでも多く提供できるよう努めます。その中で、人を思いやる気持ちを養い、人として行うべき道理を学び、協調性や社会性を身につけ、立派な大人に成長する素地を形成して頂きたい。自分の、そして国の将来に対し、夢を持ち続けて頂きたいと思います。

【むすびに】 
 過去に18年間児島の地を離れて過ごしてまいりましたが、我がふるさと児島は他のどの地域にも劣らない魅力のあるまちだと思います。四国の山々を背景にして海に浮かぶ大小の島々とその中心を貫くように伸びる瀬戸大橋を一望する眺めは、一瞬たりとも同じ表情のない海の美しさとともに、自然と近代的建造物のコントラストを感じさせ、他の地域の方に心から自慢できるものです。下津井沖の激しい潮流に育まれた海の幸もまた格別です。晴れの国岡山の中にあって、その特徴が最も表れている晴れのまち児島は、気候風土も住みやすい環境にあります。児島で生まれ育った子どもたちが、郷土を愛する気持ちを胸に、将来また児島に戻ってきたいと思えるまちになればと思います。
 スローガンにある「天地大戯場」は俳人小林一茶の言葉です。この言葉のように、この世に生を受けたからには、人生を舞台に見たて、理想の自分を精一杯演じましょう。JCにはその舞台が用意されています。その舞台上で大欲を持って自分の役割を演じきったなら、明るい豊かな社会を築くことができているはずです。

(社)児島青年会議所2010年 理事長プロフィール


氏名(ふりがな)奥野 貴章(おくの たかあき)
生年月昭和45年8月
勤務先・役 職丸民織物(株)取締役




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